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Theangさん編〜遺跡修復作業員へのインタビュー⑦〜

最後にインタビューしたのは、この修復プロジェクトでチーフを務める最年長、58歳のTheangさんです。彼もDongさんと同じくアンコールクラウがご出身。お子さんが7人もいらっしゃるそうです。


P2232286.JPGのサムネール画像

 

どうしてこの仕事を始めようと思いましたか

 もともと米農家だったのですが、1994年にJSAがこちらにきたため、そのときにやってみようと思い遺跡修復作業員になろうと思いました。1994年-2000年までバイヨン、2000年-2005年までアンコールワット、2009年-2013年までタプロームで修復作業員をしていました。

 

どんな気持ちで仕事をしていますか

 とても楽しく、幸せな気持ちで働いています。いつも全力でこの仕事と向き合っています。

 

このプロジェクト終了後の人生設計を教えてください

 遺跡修復作業員を続けたいので、違うプロジェクトに参加するなどしたいです。

 

仕事以外の時間はなにをしていますか

 小さな畑を持っていて、大豆や野菜、マンゴー、オレンジ、ココナッツなどのフルーツを育て、楽しんでいます。

 

他の作業員に指導をする際、大切にしていることは何ですか

 新材加工、再設置作業、石材の接着作業などのやり方を細かく教えています。その後、彼らの理解度を仕事ぶりから見極め、できていなさそうだったらまた教えています。

 

どうしてこのプロジェクトに参加しようと思いましたか

 2009年から2013年までタプロームを修復していたのですが、その仕事が終わった後、チアノルさんから依頼され、このプロジェクトに参加しました。

 

JASAの作業員時代にどのように技術を身につけたのですか、その技術は日本人から習得したものですか

 1994年から1997年までの3年間で修復技術全般について習得し、その後1997年から2005年のあいだに石材組み立て作業についての技術を習得しました。それらはすべて日本人専門家に教えてもらいました。通訳がいましたが、不在のときは日本人の作業の動きをみるだけで修復方法を理解しなければなりませんでした。日本人とはボディーランゲージで意思疎通を図っていた(通訳不在時)ため、日本人側の伝えたいことを理解することに苦労しました。

 

日本人から技術をカンボジア人に移転していたころと、現在のようにカンボジア人からカンボジア人に技術を移転しているところとで、何か違いはありますか?また良い点はありますか?

 日本人からの技術移転にしても、カンボジア人からの技術移転にしても、次世代に技術を伝えていくという目的が同じなのでそこまで違いは無いと思います。しかし日本人から技術を移転していたころと比べて、カンボジア人からカンボジア人に技術を移転するほうが言語面での壁が無いです。考えていることや伝えたいことをすぐに理解しあえるので、理解のスピードが速いと思います。

 

他の作業員はあなたにとってどんな存在ですか

 自分には若いスタッフを育てる責任があると思っています。彼らと一緒に働き、彼らのトレーニングができることにやりがい、幸せを感じています。彼らは息子のような存在です。

 

P2232280.JPGのサムネール画像

 

現場ではいつも真剣な顔つきで、スタッフたちの動きを見ながら作業されているTheangさん。

JSAJASA時代から積み上げられた確かな技術を他の若いスタッフに伝授し、彼らの成長を見守る責任と、その重要性を感じていられるようでした。

ほかのスタッフからはお父さんのように慕われているようで、お昼休みには若いスタッフとともに和気あいあいとお昼ご飯を食べたり、冗談を言い合って笑いあったりしていました。彼自身も若いスタッフを常に気にかけ、"現場のお父さん"といった感じでした。


これで、今回のインタビューは終了です。

インタビューを通して、作業員がアットホームな雰囲気の中で、お互いに技術を教えあうなど支えあいながら修復作業を進めている様子がうかがえました。

またカンボジア人作業員の人材育成も、Thengさんに技術を伝授された若い作業員が、新たに加わった新しいメンバーにその技術を指導していっていることがわかり、人材育成の度合いも順調なステップを踏んでいるように思われます。

普段は気さくでフレンドリーな作業員の方々ですが、石材を加工したり、図面を書いたりしているときなど、作業に集中しているとき見せる真剣な表情からは、"自分たちの国の遺跡を、自分たちの手で守っている"というプライドが感じられました。

このインターン中、遺跡修復作業員の方の作業現場をよく見学させていただいていました。

彼らの姿を見ていて思ったことは、遺跡は国の財産ですが、その遺跡を修復し、守る作業員の方々や彼らの持つ技術もまた、誇るべき国の宝なのではないかということです。

最後になりましたが、今回このインタビューを行うにあたりご協力いただいた方々に、厚く御礼申し上げます。


仲尾



本プロジェクトは2012年より、JSTと日本ユネスコ協会連盟の共同事業として、JASAの技術協力のもと始められました。バイヨン寺院外回廊のナーガ彫像、ライオン彫像、欄干を対象として進められています。

本プロジェクトは皆さまのご支援により成り立っています。ご寄付をいただいた方のお名前は、バイヨン寺院のすぐ近くに立つ、バイヨンハット脇の銘板へお名前を掲載させていただきますほか、年1回活動報告書をお送りさせていただきます。

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※事業終了後は、銘板はカンボジア政府の管理下となります。

詳細はこちらのURLからご確認下さい。

http://www.unesco.or.jp/isan/restorationproject/



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