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早稲田大学理工学部 内田悦生教授を中心として、アンコール遺跡の採石場の調査を行っています。

 

この調査、実はかなり昔から少しずつ蓄積してきていましたが、昨年、かなり大規模な(と思われた)採石場を発見し、次の乾季には本格的な調査を、と首を長くして待っていたのです。

 

場所は以前からアンコール遺跡の採石場として知られていた所の付近ではありますが、実際には足を踏み入れたことのない地域に大型の石切場の痕跡が広がっていることが分かりつつあります。

 

2月末ともなると、午後はたいへんな暑さですので、調査は午前中の半日勝負。バイクや徒歩で村人に聞き込みながら、とにかく探します。

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120222_2.JPGその結果、ここ二日間の調査では特に大きな採石地区が確認されました。

 

120222_3.JPGこうした石材がどの遺跡に運ばれて使われているのか、そのための手掛かりを得るために帯磁率という石材の磁力の計測を進めています。そうした計測値や石材の大きさなどから考えても、バイヨン期の石材が今回発見された採石場より切り出されたことが分かってきています。

採石場、そしてアンコール遺跡までの運搬経路に関する調査をさらに継続する予定です。(一)

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バイヨン本尊仏の模刻制作のために、大型の砂岩新材が現場に到着した様子を先日お伝えしました。

続報です。

 

到着の後、いよいよ彫刻を開始したい・・・と思っていましたが、いざこれだけ大きな石材を前にして、どこから削ったらよいか分からない。。。

という現実があり、彫像の正確な形状をまずは石材に引き写す作業から開始しました。

本物の彫像は過去に三次元計測で形状の記録をしていましたので、そのデータをもとに、実寸大で出力し、そのプリントから全体の輪郭を正確に測ります。

120219_1.JPGそうして測った輪郭を、基準線を墨打ちをした石材の上に丁寧に記し、削り落とすべき不要な部分を確認しました。

この作業をしてみると、かなり大きいと思われていた石材でしたが、幾つかの部分では必要なサイズぎりぎり一杯であることが判明し、一材内にうまく収めるためには基準線等を調整する工夫が求められることとなりました。

120219_2.JPGこうした作業により確実に石材内に彫像がおさまることが確認され、いよいよ荒削りの作業を開始しました。

120219_3.JPGド迫力の石材の前に鑿を握る手にも力が入ります。(一)

JASA第四次フェーズでは外回廊の修復工事が一つの重大な挑戦になります。

 

外回廊は一周約600mで、クメールとチャンパの歴史的戦争の一大絵巻物としての浮き彫りが彫刻されています。戦闘場面の最中には当時の生活風景を伝える心和むシーンもあり、バイヨン寺院の見所として欠かすことができない存在です。

 

現在、外回廊東辺の回廊上に放置されていた崩落部材について調査を進めています。東辺北側の調査が終了しましたが、ジグゾーパズルの結果、150材ほどの部材が見事に組み上がることが判明しました。

120218_1.JPG実は、以前にも写真や三次元測量のデータを元に、パソコン上でジグゾーパズルを行ったことがありましたが、その時には30程の部材が組み上がることが確認されただけでした。

 

熟練の作業員が実際の石材をクレーンによって移動しながらパズルをしていくと、浮き彫りの連続性と部材の微妙な形状より次々と的確な組み合わせが発見され、舌を巻くばかりでした。

120218_2.JPG中には、多くの兵士よりも二回りも大きな戦闘で指揮をとる人物が描かれていたりと、重要な歴史場面がここから明らかになることも期待されます。

120218_3.JPG外回廊の壁体の上面にこれらの石材を復位するために、今後壁体側の調査を進めていく予定です。

また、東辺南側でも散乱部材において同様の調査を進めています。(一)

2011年11月より日本国政府アンコール遺跡救済チームは第四次フェーズを開始しました。

 

2006年に第三フェーズが開始された際に,事業の英語名称はJSA (Japanese Government Team for Safeguarding Angkor)からJASA(Japan APSARA Safeguarding Angkor)に変更され、日本-カンボジアの共同事業であることが協調されることとなりましたが,第四次フェーズではこれまでにもましてカンボジア側の事業への参画を促し,将来的にカンボジアによる自立的な事業の体制へとより軸足を移していくことを目的として,カンボジア政府から一定額の年間事業費を拠出する方向で,日本国政府,カンボジア政府,ユネスコ間での調整が進められていました。

この度,カンボジア政府からの合意が得られ,正式に第四次フェーズ開始の調印式がプノンペンで執り行われました。2016年10月までの5年間の事業では、引き続きアンコール・トム、バイヨン寺院の修復工事に取り組まれます。(一)

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