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昨年、本ブログにて連載でお伝えしましたバイヨン本尊仏の修復再安置事業ですが、本日、模刻製作のための石材が現場に到着しました。
石材はプレア・ヴィヘア州の採石場より切り出されてはるばる運ばれてきました。コンポン・スヴァイのプレア・カーン遺跡のさらに北東に位置する採石場は、現在カンボジアで最も大きな石材を切り出すことができますが、そこから大型トラックにて1日がかりでシェムリアップに到着しました。
到着の翌日となった本日の早朝、実際の製作現場となるアンコール・トムの王宮前広場へと移動しました。
朝6時、まだ観光客が遺跡へと足を運ぶ前に、静かに事務所を出発したトラックは製作現場へと向かいました。
石材を積んだ大型トラックの幅は、アンコール・トムの南大門よりもわずか10数センチ狭いばかりで、少しでも運転を誤れば門の中で立ち往生する危険がありましたが、なんとか通過。
その後、バイヨン寺院の前を通過して、王宮前広場のコンクリートスラブの上に運ばれました。
採石場よりやってきた屈強な10名によって、約20トンの巨石は三ツ股によって徐々に引き上げられました。
沈んでいたトラックのタイヤが少しずつ伸び上がり、そしてついに巨大な石塊がトラックの甲板の上よりかすかに中に浮くと、そのままトラックが抜けて、その場に無事に下ろされました。
2011年の仕事納めとなった12月30日に、南経蔵にて出土した鎮壇具レプリカの安置式を執り行いました。
南経蔵の室内には修復工事前には盗掘孔がありましたが、解体工事においてこの盗掘孔にて発掘調査をしたところ、建立当初の鎮壇具数点が発見されました。
バイヨン寺院はもとより、アンコール遺跡においてこうした鎮壇具の類が発見されることは極めて稀で、大変貴重な遺物の出土例となりました。これらの遺物は日本に持ち帰られた後、詳細な分析を行い、現在保存処置にかけられており、将来的にはカンボジアの施設にて展示される予定です。
この度、レプリカを制作したのは、銅板製であった亀型鎮壇具です(レプリカは砂岩で製作しています)。この鎮壇具はCTスキャンの結果、亀の甲羅が開封できる仕組みとなっており、内部に布に包まれた水晶が発見されました。
基壇の内部に亀型の鎮壇具が安置されていた例としてはアンコール・トム王宮の象のテラスが知られています。1990年代、やはり修復工事の際に複数の亀型鎮壇具が確認されたものでした。それらの遺物には甲羅の上部に小さな穴が穿たれているのが確認されていましたが、内部の開封調査は行われていませんでした。
今回、安置式を行ったのは、修復工事に従事したメンバーにより、この修復工事が5年にわたり安全に進められたことへの感謝の気持ちを込めたもので、また、来年からのさらなる安全祈願でもありました。
南経蔵の修復工事はこうして無事に完了したかに思われましたが、実は未だ完成には至っていないという状況が発覚しています。。。
というのも、新たに修復工事に着手した外回廊において、散乱石材の原位置同定調査をしていたところ、予期していなかった石積みの中から、南経蔵の石材7点が発見されたのです。
いずれも大型の梁材で、再構築後の現状での建物の上層に載せられる部材です。ただし、そのうち3点は2トン近い大型部材であり現状のクレーン配置では再設置ができず、また2点は部材の半分が遺失した状態で発見されており、新材の接合が必要です。このため、再び大規模な現場作業が必要となっています。
これらのさらなる発見部材は、再安置された鎮壇具に対する神様からの贈り物であったと思いたいです。(一)
*なお、亀型鎮壇国関する詳細を知りたい方は、次のサイトの6.6章をご覧下さい。
http://archives.bayon-project.org/rwsl/report.html
