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バイヨン中央塔の直下の構造を調べるためのボーリング調査が当初予定していた調査工程をひとまず完了しました。

発掘調査がつねに予想を裏切るように、今回のボーリング調査も想定していた結果とは全く異なる地下構造が確認されつつあります。

1011021.JPG鉛直ボーリングでは予想以上の深さまでラテライト材が連続しており、基壇の外縁部にラテライト壁が巡らされている地下構造が予想されることとなりました。また、その下方の版築土は極めて大きな強度が確認されています。

一方、斜めボーリングでは、塔群の直下にはなんら組積構造が認められない様子が確認されました。過去に実施された発掘調査の埋め戻し孔が軟弱であることについても追認されています。

 

101102-2.JPGこうした結果を受けて、明日から三本目のボーリング調査を開始し、より精度の高い基壇内部構造について確認するとともに、第一、第二ボーリング孔に地下水位観測と温度観測をすべく計器の取り付け工事に入ります。また、採取された版築土の室内観察・実験も開始する予定です。(一)

西バライの湖底状況を調べるための音波探査を行いました。探査は大阪市立大学 都市地盤構造学研究室の原口強先生が実施しました。また、現在カンボジア留学中、JASA考古班の中松万由美がサポートのためにボートに乗り込みました。

 

アンコール遺跡群には大型かつ複雑な水利施設が残されていますが、中でも巨大な貯水湖は目を引きます。西バライ、東バライ、北バライ、インドラタターカなどの他にも多数の貯水湖が配置されていますが、今でも水を良く湛えており、最大規模を誇るのが東西8km、南北2kmの西バライです。

こうしたバライがなぜいくつも築造されたのか、ということ、またこれらのバライがどのような目的に利用されていたのか、ということについては未だに議論が絶えません。

巨大な人口を支えるための農業用水として造られたが、堆積土によって機能不全となり新たなバライが新設されたというのが、一般的な解釈です。

また、西バライの東側は8世紀ごろの都市址であり、地下に何らかの遺構が埋蔵されている可能性も窺われます。

こうしたいくつかの課題に取り組むために、西バライの湖底調査を行いました。

 

調査はボートに取り付けた音波探査機で湖底の状況を観察・記録していくというものです。借り上げたボートはカンボジア国旗が風を切ってはためきながら力強く進みましたが、途中でガス欠になり漂流するといった事態にも遭遇しました。

 

101031-1.JPG調査測線を正確にコントロールし、また記録するために、GPSで逐一原位置のトラック情報を確認し、また湖底の状況をパソコンのモニターで観察しながら調査は進められました。

 

101031-2.JPG 101031-3.JPGいくつかの興味深い湖底形状が観測されるなど、今後の分析が待たれるところです。(一)

アメリカ合衆国国務長官ヒラリー・クリントンが10月31日にバイヨン寺院を訪れました。

 

バイヨン寺院の中央までは入る予定がありませんでしたが、最上段テラス上で行っていたボーリング調査に興味をもたれ、予定外にJASAの調査現場を見学されました。

当事業に所属し、現場調査の他にも英語でのスポークスマンとして活躍する一面をもつアメリカ人Robert McCarthyが、SPに囲まれながら調査現場ならびに中央塔付近の案内をしました。その様子が翌日の朝刊の一面に紹介されました。

この日に誕生日を迎えたロバートは、ヒラリー・クリントンからHappy Birthday!と言われたとのこと(実話)。一体バイヨンで何を伝えていたのか真相は定かではありません。(一)

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