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JASA(JSA日本国政府アンコール遺跡救済チーム)は,2008年より,中央室内での2回の考古学的発掘調査とボーリング調査,西室での発掘調査,そして地下探査を行い,中央塔を支えている基壇内部の基礎構造の解明,そして塔の構造的な安定化のための技術開発に取り組んでいます。こうした研究成果をふまえ,当事業の第三フェーズの中央塔の構造研究を締めくくる重要な調査として,10月下旬より11月にかけて中央テラスにおいてボーリング調査を開始しました。

 

 

このブログ内での過去の発掘調査の紹介にてお伝えしたことがありましたが,中央塔の地下構造は、室内で1933年に行われたEFEOによる発掘調査の穴の埋め戻し土の強度が著しく低いことが確認されている上,中央塔の壁体直下には壁体を直接支えるための石組みの構造体が不在であることが明らかとなり、構造的な安定化のために過去の発掘埋め戻し箇所の補強の必要性が問われている状況にあります。こうしたなか,中央塔の安定化のために、中央塔群の地下構造,すなわちラテライトや砂岩積みによる支持体が中央塔の地下に存在するか否か、といった地下構造の解明が不可欠な状況となっています。この疑問を明らかにするために,この度のボーリング調査を実施する運びとなりました。

 

調査では,下の図面に示すように,中央テラスから鉛直に掘削するボーリングと,30度の斜角度で中央塔の直下を横断するように掘削するボーリングを2本入れる予定です。鉛直ボーリングは標準貫入試験とコアサンプリングを,斜角ボーリングはオールコアサンプリングの調査を予定しています。

 

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10月半ばより,テラス上の床面の記録・解体作業・ボーリングマシンの移動などを行いました。ボーリングマシンは,1トン以上の重さがあり,これをバイヨンのテラス上に設置するのは大変な労力を伴う作業となりました。

 

その後,日本からボーリングの専門家二名(北村篤実・井手善明(西部試錐工業))が到着し,マシンの組み立て・設置・調整などを行い,バイヨンの中央塔内で安全祈願式を執り行った後,10月25日より掘削を開始しました。今後はさらに採取されたコアサンプルや観測計器取り付けのための専門家が日本より到着される予定です。

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DSC05053.JPG調査は2週間程度継続する予定ですが,これらの経過については適宜このブログにて紹介する予定です。

 

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*なお,今回調査に使用しているボーリングマシンや消耗品一式は西部試錐工業からの無償支援によって実施されています。また,観測機器については東京大学新領域創成科学研究科の徳永研究室からの支援をいただいています。(一)